01-06;免疫アレルギー川崎病
- 小児のアレルギー性疾患には好発年齢があり、乳児期にはアトピー性皮膚炎、幼児期以降に気管支ぜんそく、学童期以降にはアレルギー性鼻炎がみられやすくなる。なかには乳児期からこれらすべてを順番にするような、アレルギーマーチと称される経過を示す子供もいる。
川崎病
MCLS(mucocutaneous lymph node syndrome)
- 全身の血管炎
- 約5%の患者で冠動脈瘤などの心後遺症を残す。(無治療でも自然に解熱し症状が改善するが、20〜25%の割合で冠動脈瘤をきたす。
- ほとんどは3〜8週間の経過で治癒するが、0.3~0.5%の症例では、発症後1カ月前後をピークに心筋梗塞、心不全、動脈瘤破裂などが原因で突然死亡する。
疫学
- 毎年報告患者数は増加。約年間1万人。2006年に新規患者数が1万人を超えた。
- 1979,82,86年の3回は全国規模の流行あり
- 再発するケースは約4%。
- 一般的に重症児に貧血を伴うことが多い。
検査
- 血小板は第2病週から増加してくる(回復期)。
- 冠動脈病変は第10日前後から出現する。
治療
- 最も重要なのは冠動脈合併症を起こさないことである。そのためには第10病日以内に解熱または炎症を抑えることが重要である。
- γーグロブリン療法を行っても約13〜3%に冠動脈障害を残す可能性がある。
- RAISEstudy;γーグロブリン不応例に対する早期のステロイド投与は、冠動脈病変の合併を予防するという結果が示された。
問題点
- 免疫グロブリン療法に不応例(約15%)への対応
- 心臓後遺症を持つもの、持たないものへの追跡管理が明らかでない
- 長期予後への影響が不明。2006年には、成人に達した川崎病既往患者数は9万人を超えている。
アナフィラクトイド紫斑病(血管性紫斑病、アレルギー性紫斑病、Schonlein-Henoch紫斑病)
- 上気道感染などをきっかけにIgA免疫複合体ができて皮膚の最小血管に沈着しそこで血管炎が起こって紫斑ができる(他の臓器の小血管にも沈着して腎症や消化器症状を来す)。
- 先行;上気道感染(細菌、マイコプラズマ、カンピロバクター、ウイルス等)、薬剤、予防接種、食物アレルギー、虫刺症
- 4大症状は紫斑、関節炎、腹痛、腎炎。乳児から小学生が好発年齢。全身性の血管炎
- 局在浮腫は頭部に出ることもある。
- 腹痛は約半数で認められ、血便と共に激しい痛みを訴える。腸重積や穿孔も報告されている。
- 腎炎の合併は半数以下。治療を要するものはごく一部。発症から2〜3週後に微量血尿としてとらえられるので、定期的な検尿を要する。
- 入院加療が原則も、症状が軽ければ外来観察。数日で症状が消失する例もある。
- 止血薬は効果なし。関節痛には安静と鎮痛薬。腹部症状はステロイドが早期であると効果を示すが、腎炎にはよくないとの考えあり注意が必要。
- 発症から1〜2ヶ月は出血斑が再発することもあり、激しい運動を控える。
- 紫斑はパルパブル・プルプーラ;軽く盛り上がって浸潤を触れる
- この小血管炎が腎臓に限局した状態がIgA腎症。メサンギウム増殖が強いほど予後は不良。
予後
- 蛋白尿を伴う重症例ではネフローゼ症候群に移行するが、血尿(顕微鏡的)のみの症例の予後は比較的良好である。
- 20〜60%で紫斑病性腎炎の合併。紫斑病性腎炎を呈する症例の約半数でA群β溶連菌の先行感染を認める。(急性糸球体腎炎では紫斑や関節痛は認められず、血清補体価低値が特徴である;紫斑病性腎炎では補体価は正常から上昇))