01-13;成長発達 内分泌
健診
新生児
- 身長と頭長の比は4:1である。
- 生後4〜5日目が生理的に最もビリルビン高値となる(生後5日目では18mg/dl以下なら正常)。抱合型ビリルビンは水溶性だから神経に親和性がない。アルブミンと結合している非抱合型ビリルビンは神経毒性はないが、結合せずに存在するフリービリルビンが問題。ビリルビンは青色光により神経毒性のない物質に分化され、光酸化されてビリルビン光学異性体となって排泄される。ビタミンK投与により新生児黄疸が増強することがある。
- 母乳中のプレグナンジオールがビリルビンの抱合を抑制するため間接ビリルビンが上昇する。
1か月健診
- 体重の増え方(1kg増えたか)や黄疸の有無、おへその様子、心臓疾患のチェック
- 生後3カ月の体重の増え方は30〜35g/日である。(4ヵ月では20〜30g/日である)
3〜4ヵ月健診
- 股関節脱臼や斜頸のチェック。首のすわり、あやすと笑うか、目で追うか(追視)などをチェック
- 体重は2倍になったか
- 追視は2〜3ヶ月からみられはじめ、4ヵ月には完全になる。
- 喃語は2カ月ごろに話しかけに反応する形で聞かれる。
6〜7ヶ月健診
- 斜視のチェック。寝返りおすわり、手を伸ばして物をつかむかなども。
- 聴力;乳児が人見知りをせずに反応を見やすい6ヵ月ごろに、「名前を呼ぶと振り向きますか?」でチェックできる。
9〜10ヶ月健診
- はいはいやつかまり立ちなどの観察(1歳ではいはいできなければ精密検査)
1歳
- パパ、ママが言えるようになる(1歳半では意味のある単語は話す)
1歳6ヶ月健診
- 大泉門の閉じ具合い(小泉門は2カ月ごろ閉じる)。斜視や難聴のチェック。歩行、意味のある言葉(できなければ精密検査)、指差しやバイバイなどのコミュニケーションの観察。
- 聴覚検査(振り向くかどうか、言葉を3つ以上言えるかどうかなどの問診)
- 階段を上りはじめる(2歳では、手すりにつかまって階段を上ることができる)
- 他の子供に興味を示し始めるのは1歳6カ月頃からである。
- 積み木を2つ重ねられるのは1歳4カ月頃からである。(積み木3〜4個は24カ月頃、8個は36ヶ月以降に重ねられる)
- 小走りができるのは1歳6カ月頃である。手をひいて階段を登れる。
- 一般的にあいさつを含む簡単な日常会話は理解できるようになり、有意語も80%以上の児で5語を超える。(パパ、ママ、わんわん、ブーブなど)。名前を呼ぶとすぐに振り向く。
- 平均の歯の本数は15本
- 栄養;3回食は96.6%。乳類の摂取は牛乳が77.6%。毎日摂取する食品の割合は米飯96%。味噌汁52%、野菜44%、果物41.3%。
- 男児の体重の3、50、97パーセンタイル値はそれぞれ8.8, 10.6, 12.9kgである。
- さじを使える。コップで水を飲める。
- 絵本に興味を示す。絵本をみせると、知っているものを指差すことができる。
- 紙と鉛筆で殴り書きができる。
2歳
- 体重は約12kg。出生時の約4倍。
- 3〜4個の積み木を重ねることができる。本のページをめくれる。三角は書けない。
- 大便を教えることができる。
3歳
- 尿検査。歯科、聴力、視力検査など
- 丸が書けるか 片足立ちができるか、会話ができるか、名前や年が答えられるか(言語の遅れ、視力聴力障害は精密検査へ)
- 体表面積は3歳で成人の約1/3。(約0.6u;生下時は0.2u)。身長は90cm
- 積み木は8個ぐらい重ねられる。
- 靴をはくことができる。(ひもは結べない)
- 20本の乳歯ははえそろう。
- 鼻をかめるようになる
- 3歳過ぎで、でんぐり返しができ、遊びの順番が待てるようになる。
4〜5歳
- 10個のものを数えられる。
- 色が区別できるのは4歳過ぎである。
- 疼痛の訴えを信用できるのは5歳頃からである。
- スキップができるのは4〜5歳以上である。
- 一人で服が着れるのは4〜5歳である(ボタンをはめられる)。
- 3語文を復唱できるのは4歳程度である。
- 高い、低いは4歳程度でわかる
- 4歳で四角、5歳で三角
5歳
- 弾むボールをつかむことができる。
- 信号を見て正しく道路を渡る。
- じゃんけんで勝負を決める。
12歳
下肢運動
- 一人立ちあるいは一人歩きが1歳、走るが2歳、片足立ちが3歳、スキップが5歳
手指の微細運動
- 4ヵ月で物を持って遊び、5か月では近くのものをつかむ、6ヵ月で手を伸ばしてつかめ、一方の手から他方へ持ち替える。9ヶ月では両手で物に触れられるようになる。1歳6カ月で積み木が積める。3歳で丸を書け、4歳で四角が書ける。
ことば
- ママ、パパ以外に意味のある言葉を3語言うのは、生後13.2カ月で25%。90%が達成できるのは20.4カ月。半年以上の開きがある。
- 言語・コミュニーケーションの前段としての指差しは通常9カ月過ぎから出現する。1歳を過ぎて指差しや振り返りがなく意思を伝えない場合は注意。
- 「○○はXX」という文は2歳半程で話せる。
遠城寺式発達検査
- 1歳児では2語言える、要求を理解する(おいで、ちょうだい、ねんね)
- 1歳半児では、簡単な命令を実行する(新聞を持っていらっしゃい)、絵本を見て指差しをして1つの物の名前を言う。
1歳6カ月での鑑別
1)発達性言語遅滞
- 幼児期の言語発達には表出言語と理解言語の2面がある。発達性言語遅滞では理解言語は年齢相応の発達はあるが、話し言葉の表出言語だけ遅れるもので、言葉は分かっているがしゃべれないタイプで、1歳半では有意語はなく、身振りと指差しを上手に使い、指示も入りやすい。2歳後半から言葉が始まり、その後は正常化する。
2)難聴
- 高度難聴は新生児の聴性脳幹反応で発見されるが、軽度難聴は幼児期に言葉の遅れや音に対する反応の少なさで発見される。
3)Asperger症候群
- 対人関係障害を示す。人見知りをしない、後追いをしないのが特徴である。他の発達は正常。
4)軽度知的障害
- 粗大運動発達、微細運動発達、言語発達が2〜3ヶ月程度遅れる。親からの指示は入りがたい。
視力
- 出生直後は0.02~0.05と推定され、その後急速に発達し、3歳時にはほぼ成人と同じ1.0までに達し、その後も緩やかな発達を続け、8〜10歳にほぼ完成する。
先天性鼻涙管閉塞・新生児涙嚢炎
- 自然治癒する傾向がある。生後1〜2ヶ月までは内眼角の腫瘤形成などがなければ、抗菌薬の点眼薬を使用し保存的に経過を見てよいが、生後3カ月になっても治癒しない場合は、ただちに専門医によるブジーを行うべきである。
聴力
- 難聴児の発見は、脳の可塑性の点より、4歳までに発見することが必要であうr。先天性難聴の頻度は1000人に1人程度。
臍ヘルニア
- ヘルニア門が2cm以下は、1歳までに95%が自然治癒する。手術は2cm以上であれが1歳前でも行う。
- 生後数週から生後3〜4ヵ月にかけて目立ってくる。
- テープ固定をすると、治癒後の皮膚のたるみが少ない。
- 圧迫閉鎖療法;かぶれの少ないテープと綿球。ヘルニア門よりやや大きい綿球で蓋をしてテープを張る。その上にテガダームやドレッシングテープを貼れば、水を通さないので入浴も普通にできる。一度圧迫テープを貼ったら、1週間はテープの交換はしない。頻回にテープを交換すると皮膚が剥離してかぶれの原因になる。約2ヶ月の治療で90%以上の自然治癒が見られる。
- 臍帯脱落後2〜3週で発生することが多い。
- 出生の10%ぐらいに見られ、未熟児に多い傾向がある。
その他
- 乳児のおよそ6〜7割以上が右向き。生後3カ月ぐらいで向き癖が逆になることもある。
- ヒトの基本動作は5歳までに可能となる。
- 療育;丁寧に配慮された子育て のこと
神経系評価
新生児;脊髄脳幹下部;把握反射、逃避反射(屈曲反射)、背反射
2ヶ月ごろ;橋;Moro反射、非対称性緊張性頸反射
4ヵ月ごろ;中脳;視性立ち直り反射、パラシュート反射
9〜10ヶ月ごろ;大脳皮質レベルでの平衡反応(側方パラシュート反射、跳躍反応)
生理的Babinski反射;1歳ごろまで見られる(錐体路系が未発達)2歳頃には消失。
rising movement(〜2ヶ月) figity movement(2ヶ月〜)
- Moro反射は出生時から見られほぼ4ヵ月ごろ(頸定する頃)には消失する。
- パラシュート反射は6〜8ヶ月ごろに出現し一生陽性。
- 原始歩行;生直後から2カ月頃まで認められる。
- 非対称性緊張性頸反射は日常の自発的な動きの中で観察できる。(6ヵ月ごろまで)
- 背反射;腹臥位懸垂位で脊柱外側をこすると、刺激側体幹の側屈が認められる。出生時から生後2カ月ぐらいまで観察される。
- 新生児期にみられる原始反射は乳児期前半には相次いで消失する。(手掌把握反射は6ヵ月ごろまでに消失)
Landau反射
- 児を水平に抱いた状態で顔を上げると体幹、下肢が伸展する。中脳レベルの反射。(姿勢反射は位置覚に関与する全身の受容器によって、姿勢や運動時の平衡を保つために働く一連の反射)
心拍呼吸免疫
- 新生児では心拍数100以下で徐脈、180以上で頻脈とされる。乳児の心拍数は100〜130/分
- 新生児の呼吸数は30〜50/分 乳児の呼吸数は20〜40/分
- IgGは3〜4ヵ月で最低、その後漸増し、6歳までに成人レベルに達する。IgMt値は1歳頃に成人と同じになる。
歯
- 上皮真珠;歯の形成過程で上皮組織が吸収されずに残遺して排出されたもの。角化した上皮の中には粘稠性の内容液があり、出現後数週間後、遅くても乳歯萌出開始までにははがれ落ちる。
乳歯
- 生後7〜8ヶ月ごろからはえる(6ヵ月ごろ)。2歳半〜3歳で20歯がはえそろう。下顎の中切歯が6〜7ヶ月に、上顎中切歯が8ヶ月ごろに生えてくる。1歳の誕生日頃は、多くが下顎2本、上顎4本、あるいは上下4本ずつの萌出が見られる。
- 1歳を過ぎて生えなければ、萌出遅延。(1歳までに1本でも生えていればその後の発育には支障なし)
- 萌出には個人差があるが、平均的には生後12カ月までに6本、生後18カ月までに12本、2歳までに16本、2歳半までに20本が生えそろう。5歳から13歳の間に乳歯が永久歯に生えかわる。
-
永久歯
- 最初にはえる永久歯は第一大臼歯(かむ力が大きい)で5〜6歳頃にはえ始め、12〜13頃までに親知らずを除く永久歯がはえそろう。
風呂
おむつはずし
- 1)上手に歩け、かけ出すこともできる。2)おしっこの間隔が2時間以上空くことが多くなる。3)言葉や指差しなどで自分の意思をしっかりと伝えることができる。これらの条件をクリアできるのは2歳過ぎである。
- 出そうかなの時にトイレやおまるに誘う。出た後に教える。出るが言えるようになるのを待つ。
- 尿の出方にも注意。尿線が形成されなければ包茎や陰唇癒合も疑う。
- 排泄に関する発達。1歳6カ月;自分の排泄物に興味を示す。1歳6カ月〜2歳;排泄した後で「チーチー」などと知らせる。2歳6カ月;排泄する前に知らせることがある。3歳過ぎ;夜のおむつが不要になり、夜間に自分でパンツを脱いで用を足す。3歳6カ月〜4歳;自分でトイレにいく。4〜6歳;自分で排泄物の始末ができるようになる。
漏斗胸
- 頻度は約1000人に1人の割合。男児が75〜80%と圧倒的に多い。
- 大多数は散発的に起こるが、時に家族発生もみられる。原因は不明
- 成長とともに前胸部の陥凹の程度が進行することが多く、症状は幼児から小学校低学年で喘息様発作や風邪をひきやすい等の呼吸器症状を呈する。小学校中学年以上では労作時呼吸困難や胸部圧迫感を認めることがある。(症状を認めるのは30%程度)(1)
- 心臓が左方に移動するため心電図上は右脚ブロックを呈することが多い。
- 時間の経過とともに陥凹の中心は徐々に右側へ偏る
治療
- Nuss法(ナス法);ステンレス、チタンなど金属製の約20〜40cmのバーを約2〜3年胸骨下に留置し変形している胸骨を内側から押し上げる。
- 思春期前に治療(小学校中〜高学年)。あまり早く手術すると抜去後に再び変形
- 手術の至適年齢は8〜12歳。中学生以上の年齢でも手術適応はある。
- 吸引器具を使った保存的治療も登場している(バキュウームベル)。
肥満
食事療法
- 食事の時に最初に野菜を食べる;脂肪の吸収を阻害する。
- 脂肪は少量でもカロリーが高い。脂スプーン一杯がご飯一杯と同じカロリー。網焼きや湯どうしを利用。マヨネーズには注意(脂肪の塊)。脂肪は摂取量の90%が脂肪組織に転換される。糖質は80%。たんぱく質は40%である。ポテトチップス1枚が縄跳び80〜100回分のカロリー。
- よく噛むと食事時間が長くなる。満腹感を促す。
- 夕食は軽く。就寝前3時間以内の食べ物は脂肪に転換されやすい。
成長
- 成長ホルモンはブドウ糖負荷により抑制される。したがって晩御飯は早く食べて早く寝る方が、夜間分泌を促して成長ホルモンの値は高くなりやすいかも知れない。(自)
- Kaup指数=体重(グラム)÷身長(センチメートル)二乗×10 正常は15〜19
- 大泉門の平均閉鎖時期は1歳6カ月ごろである。小泉門は1〜2ヶ月。
低身長
- 身長のSDスコアが-2SDより低い子供は全体の2.3%。
- どの年齢も年間の身長の伸びが4cm以下は注意。今何cmあるかよりも今何cm伸びているかが大切。
- 一般に低身長とは、成長曲線で標準-2SD未満となる場合や、2年間にわたり成長速度が標準の-1.5SD以下となる場合を指す。
- 大きく分けて1)思春期早発症(性早熟症)(急に身長が伸びた後途中で伸びが停止)、2)原発性低身長(出生時から);Turner症候群、軟骨異栄養症、糖原病など。3)成長ホルモン分泌不全低身長症(出生と幼時は正常だが以降成長障害)(5〜10%は頭蓋咽頭腫など脳の器質疾患)。4)甲状腺機能低下症(出生時は正常だが直後から発育障害)
- 骨年齢;促進させるホルモン;性ホルモン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン
- 低出生体重児は10%程度が低身長となる。
- 情報;骨年齢(家族性低身長、体質性思春期遅発症など)、成長曲線(甲状腺、愛情遮断)、両親の身長(target hightが求められる)、分娩時の状況(骨盤位、仮死は成長ホルモン分泌不全となりえる)
- 成長ホルモン;血中ソマトメジンCおよび早朝尿中GHが低値ならば入院させて負荷テストを行う(その際骨年齢の評価も行う)。乳児期には明らかな低身長がなく症候性低血糖のみの場合もある。
- 続発性の成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)は、頭蓋咽頭腫、生殖細胞腫、下垂体嫌色素性細胞腫などの下垂体近傍腫瘍による下垂体前葉機能低下のためによる。
- 特発性のGHDは骨盤位での経膣分娩の出産歴が多い(現在ではほとんど帝王切開)。
- Turner症候群;女子の小人症の約10%を占める。(出生女児の頻度は1/1000~2000)。成長ホルモン投与後はKaufmann療法。卵巣機能がないため妊娠は望めないが、月経誘発は可能。第二次性徴を促し骨量減少の予防にもなる。新生児期には手足背側のリンパ浮腫が著明である。第四中手骨および中足骨の短縮が認められる。
下垂体性小人症;生下児には低身長はないが徐々に目立ってくる(例;2歳以降から低身長)。
甲状腺機能低下や脳腫瘍;急激な身長の伸びの停止。
アセトン血性嘔吐症
- 鑑別;ケトン性低血糖症(1〜5歳。未熟児、SFDに多い。摂食不良や高脂肪食後に起きる。朝に発症しやすい。高炭水化物で予防)
- ストレス後に多い(感染。運動会、旅行、デパートに行った翌日など)
- 自律神経調節障害が指摘され、自律神経系が成熟する思春期以降には見られなくなる。
発達障害
ADHD(attention-deficit hyperactivity disorder) 注意欠陥/多動性障害
- 発症頻度は全児童の2〜7%で年々増えている。小学校低学年までの早期に治療を始めれば、社会生活への適応は十分可能である。
- 比較的男児に多く、3〜4歳から、遅くとも7歳ころまでに症状が現れる。
- 1)不注意 2)多動性 3)衝動性
- 一般的に、幼児期には多動性の症状が目立つが、7歳を過ぎた小児では目立たなくなり、思春期以降では不注意と衝動性のみを占めるケースが多くなる。
- ADHDの患児は、褒められることに敏感に反応する。
- 治療薬;メチルフェニデート(商品名リタリン)。少量から始め1日30mg/日まで増量可能。ただし成長抑制や食欲低下などの副作用を考慮し、週に1回は休薬日。夜間の不眠を防ぐために16時以降は服用しない。管理は親などに注意する必要あり。(運動性チックやTourette症候群には禁忌であり診断が重要)(2)
相談機関
- 京都市発達障害者支援センター;京都市上京区河原町丸太町北西角 元春日小学校内 電話075−241−0906 075−241−0921
- 日本発達障害ネットワーク(JDDネット)
- アスペ・エルデの会
くる病
- 骨端線閉鎖前に発症した場合(以後は骨軟化症);石灰化していない骨基質が増加
- くる病では、低Ca血症、高ALP血症を認め、25-(OH)-Dが低下しているが、1α-(OH)-D3が低下しているとは限らない。
- 米国ではすべての母乳栄養児にビタミンD補給が推奨されている(母乳に少ない)
- ビタミンDは皮膚で紫外線照射によって合成、または食事から摂取された後、肝臓で25-(OH)-Dとなり、さらに腎臓の1α水酸化酵素により活性型の1α,25(OH)2-D3となる。
- Pは再吸収障害で低下する。続発性副甲状腺機能亢進症となる。
Marfan症候群
- 常染色体優性遺伝で、人口15000に1名。25%は家族歴のない突然変異。
- 多くの例はフィブリリンI遺伝子変異による。
- 2型Marfan;Loeys-Dietz症候群。TGF-βの異常。ただしそれ以外のMarfan症候群もあるため遺伝子診断は100%ではない。
亜鉛欠乏症
- 腸性肢端皮膚炎;乳児期早期から離乳期に発症する亜鉛欠乏が原因で難治性下痢、皮疹、脱毛を生じる。
染色体異常
21trisomy(Down症候群)
- 発生頻度は新生児800〜1000人に1名。平均寿命は50歳を超える。
- 母親が35歳以上で1/300。40歳以上で1/400。
18trisomy
13trisomy
- 女児に多い。全前脳胞症など脳内の構造奇形を高頻度に伴う。平均生存期間は130日。
思春期発育
- 性早熟症;二次性徴が女子(乳房の発育、陰毛の発生)で8歳未満、男子(陰茎の増大、陰毛発生)で10歳未満に認められた場合。下垂体からは真性性早熟症、性腺や副腎からの性ホルモン増加は仮性性早熟症。圧倒的に女児に多い(男児では脳腫瘍鑑別)。女児では特発性が多い。
- 厚生労働省研究班による思春期早発症定義。女児;乳房発育7歳6カ月以下、陰毛発育腋毛発育小陰唇発育8歳以下、初経10歳6カ月以下。男児;9歳以下で精巣陰茎陰嚢の発育、10歳以下で陰毛の発生、11歳以下で腋毛ひげの発育声変わり
男児
- 二次性徴は3mL以上の精巣容量の増大(8〜13歳)から始まり、陰茎増大、陰毛発現(10〜15歳)と進行。14歳までに精巣容量の増大を認めない場合は思春期遅発症と診断。
- 特発性は50%。
女性化乳房
- 思春期初期から中期の正常な男子の約1/3に起こる。不安が強い。2〜3ヶ月で自然消退。2年を超えることは稀。
- 性腺機能低下を伴う場合にはKlinefelter症候群を考慮す(乳癌のリスクも高くなる)。
- 内分泌異常、腫瘍、慢性疾患が異常や薬物を鑑別。
女児
- 女児で7歳6カ月までに乳腺発育は思春期早発症と診断される。
- 乳腺腫脹(8〜12歳)から二次性徴が始まり、陰毛発現(9〜14歳)、初経(10〜14歳)と進む。女児で13歳までに乳腺腫脹を認めない場合は思春期遅発症と診断。
- 女子の骨年齢は身長や体重より初経年齢と高い相関を示す。
- 思春期早発症原因別頻度;特発性70%、視床下部過誤腫10%、脳炎髄膜炎8%、先天性水頭症4%、その他8%。
- 早発乳房発育症;1歳半、3歳児健診で比較的よく見る。必要あれば手X線で骨年齢評価。
新生児疾患
- フェニルケトン尿症;80000~70000人に一人。21-水酸化酵素欠損症;17000人に1人。クレチン症;約5000〜2200人に1人。
- 21- 11βは男性化。11β、17αは高血圧を来す
マススクリーニング
- ヒスチジン血症、神経芽細胞腫は重篤な知能障害の頻度は少なく、治療の必要がないといわれ、対象からはずれた。
- 年間数百名以上の小児が発症前から治療可能となっている。
- フェニルケトン尿症、ホモシスチン尿症(とも50〜80万人に1名)、メープルシロップ尿症、ガラクトース血症の代謝異常、さらにクレチン症(2100人に1名)、先天性副腎皮質過形成の6疾患
- 日齢4〜7日で施行(母体の影響がなくなり、また哺乳と代謝の開始により蓄積物質の血中濃度が十分になる)。少量の血液0.2mL(手背か踵)を濾紙に滴下。(未熟児の場合も母乳人工乳摂取後5日程経過して)
- タンデムマススクリーニング;濾紙血を用い、質量分析計により現行のアミノ酸代謝異常3疾患を含む約20種類の代謝異常を一斉分析できる検査法
- クレチン症とホモシスチン尿症は新生児で意識障害を認めない。
- クレチン症は5000人に1人、神経芽腫は7000人に1人、先天性副腎過形成は約20000人に1人の割合で発見される。
- 神経芽腫は生後6カ月時、尿から検査していたが、厚生労働省は平成15年8月中止(自然治癒するケースや検査の意義がはっきりしないことから)。
クレチン症
- 頭蓋癆、黄疸遷延、小泉門開大
- 出生時は母体のT4の30%が胎盤通過するので症状が出ない。新生児マススクリーニングでTSH上昇が検出される。
Cushing症候群
- 体重増加に比し身長が伸びなくなる。コルチゾール過剰によるGH分泌や肝でのIGF-1(ソマトメジンC)産生の障害によるとされる。
21-水酸化酵素欠損症
- 17α-ヒドロキシプロゲステロンが上昇(生物活性がないステロイド);新生児マススクリーニング
- アルドステロンの産生低下によりナトリウムは低下、カリウムが上昇。
- 常染色体劣性遺伝で、6番染色体短腕上のCYP21遺伝子の異常が原因。
- 1/3は血圧正常,NaK正常の単純型(アルドステロン産生が保たれている)。2/3は血圧低下、Na低下、K上昇の塩類喪失型
- 思春期では原発性無月経、低身長(骨年齢促進で骨端線閉鎖が早い)
- 知的障害は起きない。
ガラクトース血症
参照
(1)日本医事新報 49-52 2008.4.26 No4383
(2)日経メディカル 79 2003 4