01-15;小児運動器
斜頸
- 筋性斜頸は、出生後胸鎖乳突筋内に原因不明の肉芽腫ができて、頸部が傾き回旋制限を呈する。
- 顔は頸が傾いているのと逆の方向を向く。手で戻そうとしても戻らない。
- 触診で胸鎖乳突筋に腫瘤を触れる。
- 90%は1歳ころまでに自然に治る。逆の方向から声をかける、寝方に注意。
- マッサージは症状が悪化することがあり勧めない。
- 3〜4歳を過ぎても治らない場合には手術。
- 鑑別;骨性斜頸、眼性斜頸(斜視により起こる)、耳性斜頸、炎症性斜頸(急ぎ)、痙性斜頸(大人)
ばね指
- 発症年齢は5歳まで。半数以上は1〜2歳。原因不明。82〜92%は親指に発症。
- 半数以上は自然治癒。治癒の平均年齢は6歳半前後。
- 手術では全身麻酔。装具による保存療法は治癒率48〜85%。(1)
先天性股関節脱臼
- 頻度は0.1〜0.3%(かつて3〜5%)
- 完治させなければ将来、変形性股関節症が発生し、やがて人工股関節手術が必要となる。また繰り返しの手術にも完治しないことも稀ではない。
- 男児:女児=1:5
診断
- 通常顔を非脱臼側に向けている(ただし例外もある)。(2)
- 脱臼側の臀部はふくらんでいる。(2)
- 近位部の大腿皮膚溝(鼠径部と連続する)が長く深い。(2)
- 開排制限;操作中に抵抗があって途中で開きが良くなる場合も疑いを持つべき(見逃しの原因となる)
治療
- 7〜8ヶ月以降に発見された場合にはリーメンビューゲル装具を装着せずにけん引を行い、周囲筋を緩めたうえで全麻下徒手整復をしてローレンツ法ギプス包帯で固定する。
リーメンビューゲル
- 頸が坐り下肢の動きも活発になる生後3〜4ヵ月以後開始する。
- 整復率は約85%。
- 3〜4ヵ月間装着を続ける。
O脚、X脚
- 乳幼児のものはほとんど生理的なもので治療を要さない。
- 小児の下肢アライメントは、1歳まではO脚が強く、その後X脚に転じて3歳頃にこれが最も強くなり、その後軽くなって6歳頃には正常成人のアライメントになります。
側彎症
- 骨格の成長中は進行のリスクが高い。側彎の程度を示すコブ角が25〜40度程度では装具治療が、それ以上になると手術治療が考慮されます。
- 女児に多く、右凸の胸椎カーブが多いという特徴がある。
参照
(1)95-96 日本医事新報;2008.4.12 No4381
(2)67-71 日本医事新報;2008.10.18 No4408