01-20;その他新生児
世界の保健
- 5歳未満児死亡は世界で年間1215万人で、主要な死因は1)肺炎30%、2)下痢25%、3)麻疹5%、4)百日咳3%、5)結核3%である。
- 5歳未満児死亡率は2007年に出生1000人あたり68人(1990年は93人)、OECE諸国では6人。
診察
- 肝触知は新生児で2指、乳児で1指、1歳半で0.5指は正常である。
新生児
黄疸
- 病的黄疸を疑う所見として、直接ビリルビン15mg/dl以上(正期産児)ないし12mg/dl以上(早産児)
- 核黄疸を来すのは血清ビリルビン20mg/dl以上が多いが、早産児なおではより低い値でも生じる。
- 光線療法の開始基準;村田らの基準
- ビリルビンは青色光により神経毒性のない物質に分解される。光酸化によってビリルビン光学異性体となって排泄される。
- 抱合型ビリルビンは水溶性だから神経に親和性がない。
- ビタミンK投与によって、新生児黄疸が増強することもある。
低血糖
- 低出生体重児では血糖値20mg/dl以下を低血糖症という。正期産児では<40mg/dl。
未熟児
遺伝疾患
- 1)単一遺伝子疾患(メンデル遺伝病)、2)染色体異常、3)多因子遺伝病、4)ミトコンドリア遺伝病、5)体細胞遺伝病の5種類に分類される。
多因子遺伝
- 無脳症、口蓋裂、口唇裂、心奇形、内反足、幽門狭窄、先天性股関節脱臼、低身長など
常染色体優性遺伝
神経線維腫症1型(NF1)(von Recklinghausen病)
- 異常部位;17q11.2(neurofibromin)。4000人に1人
- cafe-au-lait斑
- 主な脳腫瘍;視神経膠腫
- 眼病変;虹彩過誤腫(Lisch結節)が約70%に見られる。視力は正常。
- その他;雀卵斑様色素斑(腋窩)、貧血母斑、若年性黄色肉芽腫、脊柱側彎
家族性腺腫性ポリポーシス(FAP familial adenomatous polyposis)
- APC遺伝子の変異によって発症。
- 発症は平均16歳。35歳までに95%にポリープ発症。がん発症平均年齢は39歳。
Marfan症候群
- 漏斗胸
- 75%で水晶体脱臼、亜脱臼を呈する
- コラーゲン異常
染色体異常
Down症候群
- 1/800の発生頻度。20歳未満では1/2000、35歳では1/400、40歳では1/100、45歳ではおよそ1/30
- 日本では妊婦の血液のみで胎児のダウン症の有無を90%の精度で診断できる無侵襲医療的出生前遺伝学的検査(NIPT)を4万4645人が受け、803人が陽性であった。そのうち羊水検査などを受けて陽性と確定診断された605人の94%に当たる567人が人工妊娠中絶を選択した。英国では2004年から妊娠10〜14週の全女性に同検査が無料で提供されているが、日本では高年齢妊娠などでしか検査できず、費用も約20万円かかる。ダウン症の発症確率は30歳では700人に1人、35歳以上では300人に1人、40歳以上では80人に1人との報告がある。ダウン症は心疾患などの合併症の治療が進歩し平均寿命は50歳以上となった。
- 聴力障害(伝音、感音、混合)は40〜75%に合併
- 約1/3の例で甲状腺自己抗体を有し、甲状腺機能低下症を合併しやすい。
- てんかん;5〜10%に合併し、点頭てんかんが多い。
- 環軸椎不安定性;20〜30%が陽性とされ、環軸関節の脱臼や亜脱臼を高率に合併
- 9割以上は標準型21トリソミー。以外は転座型(約3%)、モザイク型(約1%)、部分トリソミー(1%以下)である。
- 胃食道逆流症;約43%。食道アカラシア;約2%。慢性便秘;約56%。Hirshsprung病;2〜15%。
- 心内膜床欠損症、心室中隔欠損症など心奇形を約40%に合併。
5p−症候群
- 約10%の症例は呼吸不全心不全で生後1年以内に亡くなるが、それ以降の生命予後は比較的良好である。
- 低出生体重で出生し、その後の発育障害も著明。
- 小頭症、小顎症で円形顔貌を示す。
18トリソミー
- 満期産や過期産で生まれることが多い。1年生存率は10%程度。
- 屈曲拘縮を伴う特融な指の握り、舟足底
- 羊水過多症が多い
Turner症候群
- 45,XOと46,XYの混在する症例をモザイクといい、月経もあって妊娠出産も可能である。