02-03-01;総論
解剖
心臓
- 左側の冠状溝には左冠動脈回旋枝のほかに、冠状静脈が走行する。冠状溝の内側に僧帽弁がある。
理学所見
心音
III音
- III音は房室間の圧較差で受動的に流れる心室の急速充満期に発生するごく低い音で、心尖部でしか聴こえない。
- III音は、左側臥位でベル型を軽く確実に当てると呼気時によく聴かれる。座位では聴きにくい。
- 小児や若い人では正常でも聴かれる。
- II音より少し遅れ「ズン」と鼓膜を圧迫するような低い音。
- 房室間血流が増加した状態(僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全、心室中隔欠損)でIII音は亢進する。40歳以上の人に聴かれれば以上で拡張期負担(心不全)がある。
- 容量負荷や左室不全など通常左室拡大を示唆する所見である。
IV音
- 左房の収縮に伴い心尖部で聴取する過剰心音であり、左室拡張末期圧の上昇や心室圧負荷による左心機能低下時に発生する。
心雑音
大動脈閉鎖不全
- 座位で上半身を前傾させると大動脈が胸壁に近づきARの音が聴取しやすくなる。
- Erb領域でよく聴取される。
- ARなど高調な雑音は、膜型聴診器でよく聴取される。
血圧
- ゴム嚢の幅は上腕周囲長の約40%(平均的な成人で約12〜14cm)を用いる。
- 触診法による血圧測定では、聴診法による値より低く測定され、拡張期血圧の測定はできない。
家庭血圧
- 1〜2分後の安静後測定。標準的な測定時間は、朝は起床後の排尿をすませたあと、かつ朝食をとるまでの時間と言われています。夜は寝る前に測るのが一般的ですが、入浴の直後は避ける。
- コーヒー、アルコール、喫煙は影響が出る。
- 135/85mmHg以上を高血圧とし、125/80mmHg未満を正常血圧とする。
腹部血管
腹部血管雑音
- 健常者においても4〜20%で聴取(やせた女性;腹腔動脈から)
- 高血圧患者で腹部血管雑音が聴取された場合、腎血管性高血圧である感度は27〜56、特異度は89〜96%とされる。(腎血管性高血圧の約半数)。
- 収縮期だけでなく拡張期も聴取された場合は特異度は99%、陽性尤度比は38.9となり診断的価値が高い。
- 腹部大動脈瘤における腹部血管雑音の感度は11%で、診断有用性は低い。
検査
心電図
PR短縮
- PR短縮は1.5%の人℃。発作性上室性頻拍を合併する例(LGL症候群)は0.2%とされる。
Swan-Ganzカテーテル
- 左房圧は肺動脈楔入(せつにゅう)部平均圧とほぼ同一。6〜12mmHg。