02-03-03;不整脈
不整脈
- 心房期外収縮は健康成人の93.7%に観察。心室期外収縮は健康成人の50%に観察(高齢者では80〜90%)。
- ホルター心電図で、器質的心疾患のない60〜85歳において、上室性期外収縮;30以上/時間は13%、上室性期外収縮;100/24時間は12%、発作性心房性頻拍は14%、心室性期外収縮;30以上/時間は14%、心室性期外収縮;100/24時間は14%と高頻度。(Am
J Cardiol.1992Sep 15;70(7) 748-51)
- 器質性心疾患のない55〜75歳において10.8%で3連発以上の心室性不整脈を認める。(Am J Cardiol 2006 May 1;97(9);1351-7)
- 器質的心疾患がない患者で無症候性に心室性頻拍を認めても生命予後には影響を与えない(NEJM 1985,Jan24 312(4) 193-7)
- 心原性失神を疑う状況;失神直前の動悸4+。心電図異常/心疾患既往3+。労作時の失神3+。臥位での失神2+。自律神経系の前駆症状(吐き気、嘔吐)1−。誘発増悪因子(混雑した場所・長時間の立位・感情への刺激)1−。
WPW症候群
- 突然始まり、突然終わるパターンの頻脈発作。その約80%が発作性上室性頻拍で、残りが発作性心房細動である。後者の方が心室レートが300/分程度にまで上昇しやすく、血行動態的にも重症である。
- 集団検診では600〜800人に1人。
- 診断された方の約半数は無症状。残りの半数は動悸などの症状を自覚したことがある。
左脚ブロック
- 8割程度の方に何らかの他の心疾患を合併することがある。弁膜症、心筋症、心肥大、冠状動脈疾患などを調べる必要がある。(右脚ブロックはしばしば正常な心臓にも起こる)
心房細動
- 発作性心房細動が自然経過で慢性化する割合は年間5.5%、積極的な抗不整脈療法で慢性化する頻度は年間2.5%と報告されている。
- 慢性心房細動は日本には約100万人いるとされ、全人口の1%、つまり100人に1人。
- 年齢が上がるにつれて60歳前後から罹患率が上昇する。
- 心房細動が慢性化した場合、CHADS2スコアのリスク因子が複数あれば積極的な抗凝固療法が勧められる(虚血性脳卒中の既往を有するか、高血圧、心不全、糖尿病、75歳以上の加齢)。心房細動薬物治療ガイドライン2008
治療
- フレカイニド、プロパフェノンの服用は有効であるが(pill-in-the-pocket)(78%に6時間以内に除細動に成功したという報告もある)、虚血性心疾患合併例や心機能低下例では使用は控えるべき。
- III群(注射)が有効であるが、副作用あり慎重に。
PSVT
- Ia群やIc群などの抗不整脈薬の停止効果は40〜60%程度といわれている。
- 全人口の0.2〜0.3%。1000人に2,3人見られる。年齢的には10〜40代が多く、高齢者では稀。
- 頸部で強く動悸を感じたり、動悸発作後の尿意があれば可能性が高い
- 心室頻拍と上室性頻拍の鑑別にBrugadaらの基準参照(96.5,98.7%の感度、特異度)
Burgada症候群
治療薬
ATP製剤
- 半減期10秒間程度と非常に短く、血圧低下を生じることも稀である。但し気管支喘息患者では気管支攣縮を誘発する可能性があり、禁忌である。
カテーテル治療
- 上室頻拍は95%以上、心房粗動は90%以上、心房細動は70〜90%(複数回)が成功率
ペースメーカー
- 避けるもの;低周波・高周波治療器。医療用電気治療器、MRI検査、全自動麻雀卓、高電圧変電所
- 影響のある可能性;電磁調理器、IH炊飯器、電気のこぎり、ドリル、磁石、盗難防止装置、金属探知機。
- 携帯電話は22cm以上離す。
- 日本では年間4万人以上に埋め込まれている。