02-04-4;糖尿病総論治療
糖尿病
血圧
- 血圧が130/80mmHg以上だれば降圧薬による治療を開始する。ただし血圧が130〜139/80~89mmHgでは血糖コントロールと生活習慣の改善を3カ月を超えない範囲で指導することも可能であるが、目標達成に至らない場合には降圧薬を開始する。
心臓
- 糖尿病では、心筋梗塞など心血管系疾患の死亡リスクや罹患率が約2倍に高まる。
食事
アルコール
- 急性効果としては低血糖リスク増大(アルコールの代謝のためにニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)が消費され、肝臓での糖新生の起始点である乳酸からピルビン酸への反応に必要なNADが不足して糖新生が抑制される)、総エネルギー摂取過剰;血糖コントロールの乱れに。
血糖コントロール
-
UKPDS33で、強化療法により平均観察期間10年間で微小血管障害の発症は抑制されたが、大血管障害の指標に関しては、有意な効果が認められなかった。
- ACCORD、ADVANCE、VADT3つの大規模介入試験でも血糖コントロール強化療法群では大血管症を有意に抑制することはできなかった。(かえって死亡が増加した報告も;ACCORD)
- stop−NIDDM,DECODA研究ではαグルコシダーゼの投与により心臓血管イベントが有意に低下したり、OGTT2時血糖値の上昇が心臓血管死の有意に増加したと報告。
HbA1c
- 失血後は赤血球の合成が高まるため、幼若な赤血球の比率が高くなるため、HbA1cは低めの値をとる。鉄欠乏性貧血の回復期やエリスロポエチンで治療中の腎性貧血でも、同様の理由でHbA1cは低めに傾く。また溶血性疾患や肝硬変でも赤血球の寿命が短縮するため、HbA1cは低値となる。
治療
- 血糖降下で最も効果があるのは糖尿病性網膜症の微小血管病変での効果。大血管病変への予防効果は小さかった。
- 禁煙、高血圧治療、高コレステロール治療の効果が大きい。
- 血圧が良い人に一律に糖尿病検診をすることに疑義があるぐらいである。
薬
- 1)腎臓機能正常、心臓疾患なし;メトホルミン2〜3錠で開始
- 2)HbA1c6.9~7.3;スターシス
- 3)HbA1c7.4~7.8;食前血糖値が正常だとメトホルミン+グリニド。食前血糖が高いとメトホルミン+SU製剤。それぞれダメならDPP4阻害剤追加。
- 4)HbA1c7.9~;上気に加えてαG阻害剤、SGLT2阻害剤、アクトスを追加。
DPP4阻害剤
- テネリアとトラゼンタは尿中排泄率が少なく、他の薬では腎障害時は用量を減らす。
- ジャヌビアは25mgは腎機能が悪くても使用可能
- 使用中はBNP値が上昇する。
グリニド製剤
ビグアナイド製剤
- メトグルコは2250mgまで。
- 腎機能低下や脱水症例では注意。
- 乳酸アシドーシスは10万分の2
- 造影剤後の2日間が中止の方が正しい。慎重にする場合は前後2日間の5日間中止。
アクトス
SGLT2阻害剤
- 1日180g糖排泄があるとすると、通常SGLT2で160g、SGLT1で20gが吸収される。阻害薬を用いると、SGLT1で120gが吸収され、残り60gが尿に排泄されることになる。
- 尿路感染症は日本人では少ない。
- 中性脂肪の値や体重(2kg程度)が下がる。
- 向かない症例;1)長い病歴。2)やせ型。3)腎機能低下者(薬の効果が減る)。4)インスリン分泌量が少ない(血中Cペプチドや空腹時インスリンで評価)(ブドウ糖が細胞に入らず飢えてしまう)