02-05;腎泌尿器
腎炎
- 血尿のみの場合は予後良好なので通常腎生検は行わないが、血尿と蛋白尿の両方が陽性であると腎生検を行って組織診断を行う。
膜性腎症
- ネフローゼ症候群全体の20〜30%。中年以降では約半数を占めるため中高年での浮腫や尿蛋白を認めた場合にはまず念頭におくべき疾患である。性別では男性に多い。
- 原因は不明の特発性(約80%)と二次性(約20%)に分類。二次性では肝炎などの感染症、悪性腫瘍、リウマチ系薬剤、自己免疫などがある。
- 血尿は約10%程度と少なく、肉眼血尿は希である。
- ステロイドは使用されるが反応は良好ではない。近年免疫抑制薬の有効性も報告されている。尿蛋白減少効果のある抗血小板薬も投与される。高血圧がある場合はACE阻害剤やAT-II受容体拮抗薬、脂質異常症のある場合はスタチンなどの補助治療もおこなわれる。
- 膜性腎症は腎機能の急速な低下をみることは少ないが、腎生存率は10年で89%、20年で59%である。特に尿蛋白が多い症例の予後は注意が必要である。
- 30% disease;治療せずに自然寛解する30%、蛋白尿は持続するが腎機能の増悪を認めない30%、腎機能が増悪し最終的に末期腎不全に至る30%の3つのグループに分けることができる。
IgA腎症
- 日本の慢性糸球体腎炎患者において、成人の30%以上、小児の20%以上を占める。
- 以前は予後良好な疾患と考えられていたが、1990年代に報告された20年間の腎予後では、約40%が末期腎不全に至っている。
- 我が国の原発性慢性糸球体腎炎の30〜40%強を占め、最も多い。
- 10〜20歳代(男性に多い)。血清IgA高値(50%)。
- 血尿のみが主症状の時には、過度の運動、労働を制限。
- 高血圧を呈することは10〜20%以下。しかし血圧コントロールが最も重要。
- 上気道感染後に肉眼的血尿を起こすことがある。
扁桃摘出療法
- 1988年に堀田らが始めて施行、2001年に報告。
- 尿検査異常の正常化を目的にした際には、診断から5年以内、1日尿蛋白量が1.1g未満、血清クレアチニン1.5mg/dl未満を対象にすることが、コホート研究の結果から推奨されている。
治療薬
利尿剤
- Lasix;last six hoursからつけられた名前である(正常腎機能下では半減期が1〜2時間で、持続時間は6時間程度である)。太いHenle係蹄上行脚にあるNKCC2(Na-K-2Cl)共輸送体のCl部位を阻害する働きがあり、結果的にNaの再吸収を阻害し、尿中に塩を排泄させる強力な利尿薬
- ブメタニド(ルネトロン);半減期はラシックスと同じ。バイオアベイラビリティが平均80%とラシックスより良い。ラシックス40=ブメタニド1mg。リンの尿中排泄を促す作用から近位尿細管にも一部作用。
- トラセミド(ルプラック);半減期がラシックスより長くバイオアベイラビリティも良い。ラシックス40=トラセミド20mg
- アゾセミド(ダイアート);バイオアベイラビリティは10%と低いが、静注されるとラシックスよりNa排泄に優れている可能性がある。ラシックス40=アゾセミド30mg
透析
管理目標
- 血清リン濃度、血清補正カルシウム濃度、血清副甲状腺ホルモン濃度の優先順位で管理。
- 高リン血症では血管平滑筋細胞が骨芽細胞様に形質転換する血管石灰化との関連や血管内皮細胞障害との関連が、ともに死亡リスクを高める機序として考えられている。
慢性便秘
- 酸化マグネシウムは高Mg血症のリスクが高まるので不適切。
- センノサイド、ソルビトール、ルビプロストンは可能。