03-03;消化器外科
内視鏡外科手術
- 1990年に我が国に導入
- 腹腔鏡下胆のう摘出術は、全胆のう摘出術の80%を占める。
食道外科
- リンパ節転移の危険がない粘膜固有層にとどまる食道がんに対しては内視鏡的治療、内視鏡的粘膜下剥離術(ESD)が標準治療。
- 潜在的リンパ節転移の危険が否定できない粘膜筋板、粘膜下層浸潤する食道がんでは従来は外科的切除が標準的治療。近年病期I食道がんに対する根治的化学放射線療法による比較的良好な治癒成績が示されている。
- 現時点では切除可能臨床病期II,III食道がんに対して、5FU,CDDPによる術前化学療法を行った後根治術を施行する戦略が標準である。
胃
胃がん手術
- リンパ節郭清の範囲は、ゴールドスタンダードとしてD2リンパ節郭清。これは胃近傍のリンパ節のみならず腹腔動脈とその主要分枝に沿うリンパ節を系統的に郭清する術式。
- 早期胃がんでも10%程度はリンパ節転移を認める。
- 治癒切除後、切除胃とリンパ節の組織学的検索によりステージが確定する。ステージII/IIIでは、TS-1による補助化学療法(1年間)が生存率を改善することが示され、現在標準的治療となっている。
- 腹腔鏡下胃切除術;経験豊富な施設で早期胃がんに限定して行われている。
手術後
ダンピング症候群
早期
- 発症頻度は10〜40%。
- 高蛋白、高脂肪、低炭水化物が基本。液体成分の摂取を減らし、乾燥した固形食を中心とする。小腸への急速な食物流入を避けるため食事回数を1日5〜6回に増やし1回の食事量を減らす。食後は1時間ぐらい横位になって排出を遅延させるのも有効。水分は夜間を中心に摂取する。
- 薬物としては胃排出遅延や小腸運動の減少を目的としてブスコパン。
- ストロカイン;小腸の粘膜表面を麻酔すると、高張のぶどう糖が接触してもセロトニンが変動しないことから有効とされている。
- BillrothIの方がII法よりも発症頻度が少ない。
後期
大腸がん手術
- stage0~Vの全症例の5年生存率は結腸癌71.4%、直腸癌67.7%、全体で69.9%とその治療成績は比較的良好である。
膵臓
IPMN
- 多量の粘液産生と主膵管のびまん性拡張、乳頭開大を来す。進行の遅い、予後の良い腫瘍として広く認識されている。そのため腺がんを切除し、腺腫は経過観察が可能としている施設が多い。
- ガイドラインでは、主膵管型・複合型は悪性例を高率に認め、臨床像や画像所見で悪性例の正確な描出が困難であるため原則的には切除を推奨。一方、分枝膵管型は腫瘍径が3cm以上、有症状例は切除を推奨している。