08-06;結膜強膜角膜疾患
結膜
- 眼球結膜と眼瞼結膜があり両者はつながっていて境目を結膜嚢とか結膜円蓋部という(コンタクトレンズが眼の裏側に入ることはない)。
ウイルス性結膜炎
流行性角結膜炎
- アデノウイルス8、19、37型により起こる。
- アデノウイルスは乾燥に極めて強く、涙液などの付着した場所は長期間(1週間以上)にわたって感染源となる。
- 滅菌方法としては加熱が最も簡便で、100℃3秒間または56℃5分間で完全に消毒できる。
- アルコール消毒では5分以上浸漬しなければ滅菌できない。
- 潜伏期間は5〜14日。
- 急激に発症する結膜充血、流涙、眼脂、眼痛を主訴とする。耳前リンパ節腫張、圧痛、偽膜形成を伴う。角膜上に点状表層角膜炎が認められる。片眼性であっても数日以内に対眼にも発症する。
咽頭結膜熱
アレルギー性結膜炎
- 感染性結膜炎では、どこかに結膜の点状出血斑がある。
- アデノウイルスやエンテロウイルスによるウイルス性結膜炎では、流涙や眼脂が主(かゆみや異物感よりも)。また耳前リンパ節も腫脹する。アレルギー性結膜炎では充血や眼脂は著明ではなく、掻痒感が強い。
- クラミジア結膜炎は、新生児や性的活動が活発な成人に。濾胞が強い。
- 細菌性結膜炎は両眼性となることは希で、粘液膿性の眼脂を呈する。
- 約60%の症例でアレルギー性鼻炎を伴う。
治療
- ステロイド点眼による眼圧上昇は遺伝的な因子に影響される。人口の約20%がその因子を持つとされる。
春季カタル
- アレルギー反応が強いために乳頭増殖が著明となり、瞼結膜の肥厚および角膜周辺部に浸潤や隆起など増殖性変化が認められるもの
- ひどいと角膜潰瘍を来す(好酸球から組織破壊性たんぱく質が産生されるため)ので、外科切除することもある。
クラミジア結膜炎
- 性器から結膜にChlamitia trachomatisが感染することにより発症する。クラミジアが好んで生息する円柱上皮からなる下眼瞼円蓋部に充実性の大きな濾胞を形成することが特徴である。
- トラコーマ;衛生環境の悪い条件下にクラミジア感染が反復し重篤化したもので、現在は開発途上国以外ではほとんど見られない。
瞼裂斑
- 球結膜の変性疾患。結膜上皮下の膠原線維の弾性繊維様変性と硝子様物質の沈着が特徴。鼻側に好発するが耳側にもできる。
- 原因として紫外線被曝やまばたきによる慢性の外力刺激が考えられており、加齢に伴い頻度は増加し、中高齢者の半数以上に見られる。
- ときに角膜輪部を超えて角膜上に侵入することがあり、これを翼状片という。
- 治療は不要。炎症や涙液膜の破綻から角膜上皮障害があればステロイドや人工涙液点眼。
角膜
- 角膜と強膜の境界は角膜輪部といって、角膜上皮幹細胞が並んでいる。人為的に角膜上皮を全部はがしても、角膜上皮幹細胞が正常であれば1週間以内に角膜上皮は元通りになる。
- 角膜には神経が多いので、雪目などでは痛い。
- 厚さは0.5mm。上皮とボーマン膜を上皮。内皮とデスメ膜を内皮。その間が実質。レーシック手術は実質を0.1mm削る手術。
角膜内皮
- 内皮は細胞たった一層からなる層で、内皮細胞は脳神経と同様に細胞分裂しないので減る一方。角膜実質の水分バランスをコントロールしており、その機能低下により、角膜浮腫ー>肥厚ー>混濁をきたす。
- 正常の角膜内皮細胞は2500〜3000個/mm2。500個/mm2を下回ると臨床的障害が出てくる。スペキュラマイクロスコープで計測。白内障手術前には必ず計測(手術ストレスで内皮細胞が減少する)。長年のコンタクトレンズユーザーでは、長期に及ぶ低酸素の影響で内皮細胞が中等度に減っていることがある。
角膜移植
- 日本の初めての移植は1949年。
- 抜糸は1年以上先。術後10年目の透明治癒率は約70%。
- 角膜パーツ移植;DASEK(ディーセック);角膜内皮移植(内皮だけの移植)。DALK(ダルク);深層層状角膜移植(内皮が障害されていない疾患に内皮だけのこしてそれ以外を移植)。
- 少ないとはいえ、20〜30%に拒絶反応が起きる。
- 角膜上皮移植は少ない。上皮幹細胞は角膜輪部にあるので、角膜上皮移植は角膜輪部移植でもあるということ。角膜輪部は無血管ではないので、拒絶反応のリスクは段違いに高くなる。
- 日本国内の角膜移植の約半分は輸入角膜(日本で献眼は年2000個以下。米国では90000と)