08-08;網膜硝子体疾患
網膜
網膜剥離
- 予防できない。
- 3つのタイプ;裂孔原性網膜剥離(硝子体の水が入ってくる) 牽引性網膜剥離(糖尿病などが原因) 滲出性網膜剥離(炎症が原因)
加齢黄斑変性症(AMD)
- 欧米では失明原因の一位(日本では中途失明の第3~4位)
- 日本では患者数3万人(5~7万人とも)。両眼性は37.5%。(以前)
- 65歳以上では人口の1%を超え約30万人に達すると。
- 50代からはじまって60〜70代が多い。数か月の経過の場合もあるが1年程度の経過。両眼のことも。
経過と病因
- 滲出型;加齢により脈絡膜から発生した新生血管が色素上皮細胞を破って視細胞を壊す(視細胞は色素上皮細胞によって養われ、色素上皮細胞は脈絡膜から栄養を受けている)
- 萎縮型;加齢により徐々に色素上皮細胞の働きが悪くなって視細胞が壊れてくる(未消化の老廃物が網膜の外側にたまり、ドルーゼンと呼ばれる沈着物となる)
- 病態は明らかでないが、長期にわたる光照射、特に可視光線によるといわれている。紫外線のほとんどは角膜、水晶体で吸収される。可視光線は網膜まで到達するが中でも青色光線は視細胞や網膜色素上皮細胞に収束して黄斑に変性が起こると考えられている。
- リスクファクターとし加齢の他、肥満、高血圧、CRP高値なども(メタボと共通)
検査
- インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査;脈絡膜がよく映る。新生血管の状態がわかる。赤外線で撮影。5分おきに数枚ずつ30分間撮影。(片目で10枚程度で最終は判断)
- フルオレセイン蛍光眼底検査;網膜と網膜色素上皮細胞の変化がわかる。撮影開始1分〜1分30秒を連続撮影。その後は1分おきに10分まで撮影。
- 光干渉断層計;網膜の断面図
対策
- 緑黄色野菜(カロチノイド)は良い。ピーナッツやアーモンド(抗酸化作用のビタミンE、Eの修復作用もあるビタミンCもよい)もよい。血圧、たばこ、日光(パソコンの光、特に青色))は良くない。
- ルテイン;カロチノイドの一種。ホウレンソウやキャベツなどの緑黄色野菜に含まれる。黄斑が黄色を示すのはこの色素による。黄斑のルテインは青色光線のエネルギーをよく吸収し黄斑の機能を保全するという。ルテインにはビタミンEの10倍以上強力な1重項酸素に対する消去能がある。正常人では加齢とともにルテインは減少。サプリメント服用者で色素密度が正常レベルに近づくとの報告(食事から1日6mgのルテインを摂取すると発症リスクが半減)
- DHAやEPAも発症や進行予防効果と。
治療
- 進行を遅らせる。
- レーザー光凝固術;脈絡膜新生血管が黄斑の中心窩に達していない場合
- 光線力学療法;中心窩に新生血管がある場合。2004年5月から。光感受性物質(ベルテポルフィン)が含まれるビスダインとぶどう糖と注入(10分で)。治療は5分後(15分がよい反応)。照射時間は83秒。最初の1年間で3回施行。治療後しばらく光過敏症を起こすことがある(48時間は直射日光を避ける意味で2日間の入院)。
- 抗VEGF療法(抗血管新生療法)
網膜静脈閉塞症
- 閉塞部位により網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症に分けられる。中年期以降にみられるものは高血圧、糖尿病、高脂血症に合併することが多く動脈硬化が主要原因と考えられている。
- 網膜虚血になると、糖尿病網膜症と同様にVEGF(血管内皮増殖因子)が産生され、黄斑浮腫を来す。
- 新生血管は2つの意味で悪い。1)もろくて硝子体出血を引き起こす。網膜出血と異なり待てば必ず消退するとは限らず、消退しなければ硝子体手術の適応になる。2)増殖組織を伴って牽引性網膜剥離を引き起こす。隅角に新生血管が生えたら血管新生緑内障(厄介)にもなる。
- 緊急性はないが早めに眼科受診を指示。
- 硬化した網膜動脈によって網膜静脈が圧迫されているということ=動脈硬化が進んでいる
黄斑浮腫
- 血管透過性亢進により黄斑部に生じやすく、原因としては糖尿病、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎など
- 硬性白斑はそこに浮腫があったことを示す。血管から漏れた血漿が再吸収される際、網膜に血漿成分が沈着したもの。黄斑、特に中心窩に沈着すると極端に視力が低下する。
網膜動脈閉塞症
- 黄斑浮腫にならない。新生血管も生えない。でもつまった部位の視細胞は死んでしまう。
- 網膜中心動脈閉塞症は網膜全体が虚血になる。網膜動脈分枝閉塞症は視野異常のみで視力正常ということもある。
網膜色素変性
- 遺伝性網膜ジストロフィの中で最も頻度が高い。
- 進行性の視野狭窄、夜盲を主症状とする。
- 視細胞の杆体が優位に変性し、のちに錐体の変性がおこる病型が典型的。
遺伝
- 常染色体優性、常染色体劣性、X染色体性、ミトコンドリア遺伝、2遺伝子遺伝など様々。
症状
- 小児期より夜盲を自覚する例もあるが、成人以降になっても夜盲感のないことも少なくない。
- 20歳以降に最初に視野狭窄症状を感じることが多い。視野は当初は中心と周辺お視野が残存して、中間部分がリング状に欠損していることが多く、自覚症に乏しい時期がかなりある。
- 強い光に曝露すると一過性に自覚症状の悪化があり、詳しい検査は専門家に依頼する方がよい。
網膜芽細胞腫
- 15000〜20000人に1人。
- 両眼性、片眼性含め35〜45%が遺伝性。
- 多くは3歳までに発症し診断されるが遺伝性では発症が早い。
- 一般に網膜芽細胞腫は10年生存率は90%以上であるが、眼球外浸潤があると予後不良。
飛蚊症