10-2;性器感染炎症
サイトメガロウイルス
- 成人の80%以上は本ウイルスに感染している(自然感染は経産道や母乳など)。
再活性化
- AIDSが重篤化すると、網膜炎で多くの患者が失明する。脳炎は死亡率が非常に高い。
胎児感染
- 約1000人の新生児中4、5人が胎内感染しているといわれる。(4000〜5000人/年)。その中の10人に1人が非常に重篤。脳内石灰化、小頭症、血小板減少による出血、肝炎、肺炎など。
クラミジア感染症
- クラミジア・トラコマティスによる
- クラミジア・ニューモニエとクラミジア・シッタシ(psittaci;オウム病の原因)は1999年のシンブル類ではクラミジア属ではなくクラミジアのクラミドフィラ(chlamydophila)属に分類された
- 15〜20歳代では女性が男性の約2倍、健常成人女性の子宮頸管における陽性率は3〜5%とされている。
- 子宮外妊娠の7〜8割はクラミジアが原因というデータもある。
- 治療を行わないと、クラミジア感染は女性の泌尿生殖器で平均約2年間持続する。
- 性器クラミジア感染症で女性の約10%が不妊に陥る。
- 性器クラミジア感染は女性では80%以上が、男性でも50%以上が不顕性感染と推定されている。
診断
- 男性ではクラミジアが尿道にすんでいて、排尿とともに菌が出ていくので、一時尿ではみつからないことがある。
- IgG抗体;感染後1カ月から上昇。陰性化するには数年かかる。現在のクラミジア感染の判定にはならない(PCR法も時期によっては死んだ菌も検出するので注意)
- IgA抗体;IgG抗体よりやや早く上昇し、クラミジア感染の活動性を示すとされている。クラミジアが消失すると低下するため、現在のクラミジア感染の状態を反映する。
- IgM抗体;感染後1週間以内に上昇し、2ヶ月以内に陰性化。ごく最近にクラミジアに感染したかどうかがわかる。ただし保険適応がない。
治療
- 抗菌薬は網様体が増殖する時間にのみ作用。したがって1週間以上の継続投与が必要となる。
- 子宮頸管感染なら100%除菌できる薬剤投与で、咽頭感染では治療に失敗する例が1〜2割ある。
HPV感染症
- HPVの関与は子宮頸癌99%、膣癌50%、外陰癌50%、肛門癌90%、陰茎癌50%、咽頭癌60%とされる。
- 高リスクHPV感染率は10代〜20代前半で30%前後以上と高い。(HPVワクチンの普及で今後変わってくる)
- 日本では年間7000人が子宮頸部癌となり、2500人が死亡している。
- HPVは種類(100種類以上)が多く、うち30〜40種類が性的接触で感染。これらの中で15種類には発がん性があるといわれ、16,18型が頸がんからの検出率が70%と高い。
- 性的感染後、約2年以内でその90%は体外に排出される。癌化するのは1%未満で感染からがんに至るのには10数年かかるといわれている。