19−1;解剖学

前頚三角 頸の正中線, 胸鎖乳突筋の前縁, 下顎骨の下縁で構成される

  顎下三角  顎二腹筋(digastric)の前腹および後腹、下顎骨底によって囲まれ

            顎下腺 顎下リンパ節 舌下神経、顎舌骨筋 顔面動静脈の一部

  頸動脈三角 胸鎖乳突筋、顎二腹筋の後腹、肩甲舌骨筋の上腹で囲まれ

                総頚動脈の拍動触知が可能 ここで内頚動脈と外頚動脈に分岐する

                内頚静脈の絵だ 迷走神経 外頚動脈と枝 舌下神経

                頚神経ワナの上根、副神経脊髄根、甲状腺、喉頭、咽頭、頚部リンパ節

  筋三角      正中線、肩甲舌骨筋、胸鎖乳突筋によって形成

                胸骨甲状筋と胸骨舌骨筋 甲状腺と上皮小体

  オトガイ三角 正中線、顎二腹筋、舌骨により形成

                オトガイ下リンパ節 前頚静脈につながる小静脈

後頚三角 僧帽筋、胸鎖乳突筋、鎖骨によって囲まれる

          (肩甲舌骨筋により頭側と尾側に分けられる)

                頭側; 外頚動脈の一部 頚神経叢の後枝、副神経脊髄根、腕神経叢の幹

                        頚横動脈 頚部リンパ節

                尾側; 鎖骨下動脈 鎖骨下静脈 肩甲上動脈 鎖骨上リンパ管


泉門の閉じる時期

 小泉門   生後3ヵ月以内に閉鎖

 前側頭泉門 生後6ヶ月〜1年で閉鎖

 後側頭泉門 生後1年〜16ヶ月で閉鎖

 大泉門   生後1年6ヶ月〜2歳で閉鎖

  

顔面神経麻痺

 運動神経成分

顔面上部は大脳皮質から両側性に支配を受ける。

顔面下部は対側の大脳皮質から片側性に支配を受ける。したがって、

中枢性障害では病変の対側顔面下部に表情筋の麻痺(鼻唇溝が浅く口角が下がる)

末梢性障害では障害部位と同側の顔面上下部麻痺(上記と額シワ寄せや閉眼不可)

(顔面神経は唇を動かす発音;パ、バ、マ行の発音がしにくくなる)

 あぶみ骨筋反射(大きな音がすると筋が収縮し音の伝播を弱める)が消失

 感覚神経成分

  味覚障害、外耳道後壁や耳介の痛み

 (味覚は舌前2/3;鼓索神経を通り孤束核(橋下部〜延髄)に伝える)

 副交感神経成分

  唾液分泌障害、涙分泌障害。

  涙腺分泌は大錐体神経を通る副交感神経線維 (大錐体神経は交感神経線維である深錐体神経と合流し翼突神経管通り翼口蓋神経節に入る)による。

  唾液腺(顎下腺、舌下腺)分泌も副交感神経線維による。



鼓膜の振動は、耳小骨を介することで約20倍の音圧に増幅され、卵円窓に伝えられる。そして卵円窓から内耳の外リンパに振動が伝わり(前庭階蝸牛頂鼓室階正円窓)、さらに内リンパで満たされた蝸牛管へ伝わる。蝸牛管には音を感知するコルチ器があり蝸牛底では高音を、蝸牛頂では低音を感知する。コルチ器は、感覚細胞である有毛細胞が蓋膜を支える構造をしている。有毛細胞が脱分極しインパルスがラセン神経節の神経細胞求心性線維に発生し、もう一本の軸索が橋の蝸牛神経核にまで電気的信号を伝達する。



嗅神経(I

種類 感覚性

機能 嗅覚

備考 鼻腔天井の嗅上皮から出る神経線維

視神経(U)

種類 感覚性

機能 視覚

備考 眼球後部から出て、下垂体の前で視交叉を作り、視索となって視床後部の外側膝状体に入る

動眼神経(V)

種類 運動性、副交感性

機能 眼球運動(運動性)、縮瞳と焦点調節(副交感性)

備考 上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋、上眼瞼挙筋を支配(運動性)

   起始核(中脳)は動眼神経副核で、毛様体神経節からの節後線維は瞳孔括約筋(縮瞳)と毛様体筋(焦点調節)に分布(副交感性)

滑車神経(W)

種類 運動性

機能 運動神経成分;眼球運動の上斜筋を支配

備考 障害として上斜筋麻痺がある。患眼は外旋し外上方に偏位する(代償性頭位をとる)

   頭蓋骨からの出口は上眼窩裂。

三叉神経(V

種類 感覚性、運動性

機能    V1(眼神経) 眼窩、頭頂〜鼻の感覚を司る(感覚性)

   V2(上顎神経)頬部〜上顎部の感覚を司る(感覚性)

        V3(下顎神経)下顎〜側頭部、外耳道の感覚、舌前2/3温痛覚と感覚(感覚性)

           咀嚼運動(咬筋、咽頭筋、内側外側翼突筋)を司る(運動性)

備考 障害として各部の全感覚消失がある。(舌前2/3は味覚以外の全感覚消失)

    頭蓋骨からの出口は上眼窩裂(V1)、正円孔(V2)、卵円孔(V3

外転神経(VI

  種類 運動性

 機能 眼球運動の外直筋を支配

 備考 障害外として直筋麻痺があり、患眼は内方に偏位する

    頭蓋骨からの出口は上眼窩裂。

顔面神経(VII

 種類 運動性、感覚性、副交感性

 機能 表情筋の運動 あぶみ骨筋反射を司る(運動性)

        舌の前2/3の味覚、外耳道、鼓膜などの温痛覚を司る(感覚性)

        涙、鼻汁、唾液の分泌を司る(涙腺、顎下腺、舌下腺を支配)(副交感性)

 備考 障害として兎眼、あぶみ骨筋反射消失(=聴覚過敏)

        味覚障害、外耳道後壁や耳介の痛み

        唾液分泌障害、涙分泌障害、発声障害 などがある

        頭蓋骨からの出口は内耳道。

内耳神経(VIII

 種類 感覚性

 機能 蝸牛神経(内耳より聴覚)と前庭神経(前庭・三半規管より平衡感覚)

 備考 難聴は障害部位や原因により伝音声難聴と感音性難聴に分かれる

頭蓋骨からの出口;内耳道

舌咽神経(IX

 種類 感覚性、運動性、副交感性

機能    咽頭の挙上運動(運動性) 疑核は茎突咽頭筋に分布する。

        舌の後ろ1/3の味覚と咽頭頸部の内臓感覚は孤束核に入る

舌の後ろ1/3、咽頭の温痛覚と触覚 は三叉神経脊髄路核、主感覚核に入る(感覚性)

        唾液分泌(下唾液核は耳下腺を支配)(副交感性)

備考 咽頭反射;求心路は舌咽神経(軟口蓋反射の求心路は舌咽神経と三叉神経)

頭蓋骨からの出口;頚静脈孔

迷走神経(X)

種類 感覚性、運動性、副交感性

 機能 咽頭喉頭の運動(運動性)

     疑核は茎突咽頭筋以外の咽頭喉頭筋に分布する。

         迷走神経の下神経節から分布する上喉頭神経は輪状甲状筋を、反回神経から

分枝する下喉頭神経は輪状甲状筋を除くすべての喉頭筋を支配する。

        咽頭、喉頭、胸腹部臓器の内臓感覚(孤束核を通る)(感覚性)

        胸腹部臓器の運動・分泌調節(迷走神経背側核を通る)(副交感性)

 備考 反回神経は迷走神経の分枝で、胸部を下行し、左は大動脈弓、右は右鎖骨下動脈の

下側を回って再び上行する。声帯の動きなどを司る。反回神経の障害により嗄声、

誤嚥、両側の麻痺の場合は呼吸困難をきたす。甲状腺、食道、肺、気管、縦隔、

胸部大動脈などの手術や腫瘍による圧迫などが原因で、声帯の運動障害や最長発声持続時間の短縮などが引き起こされることがある。

頭蓋骨からの出口は頚静脈孔。

副神経(XI

種類 運動性

 機能 胸鎖乳突筋と僧帽筋の運動

 備考 頸髄(C2~5又は6)から出て上行し、大後頭孔を通って頭蓋内に入り延髄根

と合流した後、頚静脈孔から再び頭蓋を出て胸鎖乳突筋と僧帽筋に分布する。

障害として、対側へ頭を向けられない胸鎖乳突筋障害や、肩すくめが出来ない又は

        肩が下がるなどの僧帽筋障害がある。

頭蓋骨からの出口は頚静脈孔。

舌下神経(XII

種類 運動性

 機能 舌の運動

 備考 障害として舌の運動障害、舌筋萎縮(無い時は中枢性障害)がある。

       頭蓋骨からの出口は舌下神経管。

気胸

 気道や胸壁の破綻により空気が胸腔内に侵入し、肺が虚脱した状態

 (胸腔は、肺の表面を覆う臓側胸膜と胸壁を覆う壁側胸膜からなり、その間の腔を胸腔

  という;胸腔内圧は、安静呼吸時には-10~-3cmH?O程度の陰圧である)

胸水

 胸膜腔に生理的な範囲を超えて液体が貯留した状態

 (生理的に約5mLの液体が存在し、胸膜間の摩擦をやわらげ、呼吸を円滑にしている)

 (液体は壁側胸膜より1日5〜10L産生され、大部分は同じ壁側胸膜のリンパ管に

  吸収されてバランスを保っている)

 病的貯留

  漏出性;産生過剰;静水圧上昇(心不全他)、血漿膠質浸透圧低下(低蛋白他)

  滲出性;産生過剰;毛細血管透過性亢進(癌や炎症)

      吸収障害;リンパ液還流低下(乳び胸など)

 血胸

  外傷などで起こる。気胸を伴うと血気胸となる。

心タンポナーデ cardiac tamponade

 心膜液貯留により、心膜腔内圧上昇があり、心室拡張障害を来し、著しい静脈還流障害が

 出現するため、心拍出量が低下し、症状を呈したもの

 病態 心室拡張不全

    1)右心への静脈還流障害 → 中心静脈圧上昇 右房圧上昇

      → 頚静脈怒張 肝腫大 下肢浮腫

    2)心拍出量低下 → 奇脈、血圧低下、脈圧減少、心音微弱、頻脈、呼吸困難

 原因 悪性腫瘍の心膜転移が最も多く、他に特発性、尿毒症が重要

    他に心膜炎(結核他)、出血(大動脈解離など)

 治療 心膜腔穿刺による排液が唯一の治療

腰椎穿刺

 脊髄円錐はL3の高さで終わる。従って両側腸骨稜の最上を結ぶ線(ヤコビ線)はL4棘突起(第4から第5腰椎の間)になり、L3からL4またはL4からL5の間で腰椎穿刺を行えば脊髄を誤って直接傷つけることはない。

直腸指診で届くのは長くても10pであり、下部直腸(Rb)までの癌が触診できる。

 下部直腸は漿膜がなく又リンパ流は大部分側方へ流れるため、癌は周囲へ浸潤しやすい。

 直腸には腸間膜がない。解剖学的には第2仙椎下縁からが直腸となる。

直腸がんの血行性転移

  静脈流は上部直腸(Ra)までは下腸間膜静脈経由で門脈へと流れるので、肝転移が多く見られる。下部直腸(Rb)は上直腸静脈との吻合を介する肝転移だけでなく、内腸骨静脈

  から下大静脈というルートで肺転移も起こす。

直腸がんのリンパ行性転移

  上部直腸(Ra)のリンパ流(腹膜反転部より口側のリンパ流)は、盲腸・結腸のリンパ流と同様で上方向リンパ流、直腸傍リンパ節から上直腸静脈に沿ったリンパ節へと進み、下腸間膜動脈根部のリンパ節へと至る。

  下部直腸(Rb)のリンパ流は一部は上方向へと進むものの、大部分は中直腸動脈と下直腸動脈に沿って進み、内腸骨動脈リンパ節、総腸骨動脈リンパ節へと至る(側方向リンパ流)

尿膜管遺残

 発生段階で膀胱頂部と臍の間には尿膜管ができ、胎生5か月までに閉鎖して靭帯になるが、これが残存した状態。膀胱と交通した憩室となると感染や結石を発生。臍と膀胱が

 つながる場合には臍から尿が漏れることもある。また膀胱頂部から膀胱がん(尿膜管癌)が発生することがある。

リスフラン関節:足根中足関節

  靭帯で強力に連結されている。墜落などで前足部に強い背屈力が働くと、この関節に脱臼や骨折が起こる。特に第2中足骨はその基部が中間楔状骨にはまり込むように固定されているため、第2中足骨基部骨折の合併が高率となる。足背動脈の損傷と内側外側足底神経の損傷に注意が必要。

ショパール関節:横足根関節

  舟状骨、立方骨、距骨、踵骨で構成される。互いに靭帯で強力に連結されている。ここに脱臼を起こすような外力が働いた場合骨折を伴うことがほとんど。

肩甲骨

 上縁      上角、肩甲切痕がある。

椎骨側の内側縁 肩甲棘が起こる。その先端部は肩峰。肩峰は鎖骨の肩峰端と肩峰関節

       を形成する。

腋窩側の外側縁 下角から始まり、間接窩に終わる

間接窩  上腕骨頭が間接する。上腕二頭筋長頭の起始部が間接上結節。

    上腕三頭筋長頭の起始部が間接下結節。

棘上窩  棘上筋がある

棘下窩  棘下筋がある

肩甲下窩 肋骨面に相当する。肩甲下筋がある。

烏口突起 肩甲骨の前面にある。

鎖骨

 胸骨と関節して胸部に連結しているだけのようにみえるが、数種類の重要な筋が付着している。わずかにS字型にカーブしている鎖骨は、大きな力を受けており、からだの中で

 も最も頻繁に骨折する。

上腕骨

 最上端は上腕骨頭。下には解剖頸と外科頸の、2種類の上腕骨頸がある。また、上腕上部

 には大結節と小結節があり、これらの間には結節間溝がある。上腕骨体には、中間外側部にある三角筋粗面と後部の浅い溝である橈骨神経溝を除いて顕著な特徴はない。遠位端には、著明に拡張した内側縁と外側縁があり、それぞれ内側上顆と外側上顆に連続する。

 これらは前腕の筋の起始部として重要である。遠位端で特に重要なのは上腕骨小頭と上腕骨滑車であり、小頭は肘関節で橈骨と関節し、滑車は尺骨と関節する。3種類の窩が遠位端にはあり、前部に鉤突窩と橈骨窩、後部に肘頭窩がある。それぞれ尺骨の鉤状突起、

 橈骨頭、として尺骨の肘頭が肘関節の屈曲・進展の際にはまり込む。

橈骨

 前腕と手の回内・回外に関わる。

 橈骨頭は上腕骨小頭および尺骨の橈骨切痕と関節する。直下には、橈骨顆と上腕二頭筋

 のう停止部で顕著な隆起である橈骨粗面がある。拡張した遠位端には手根骨と関節する手根関節面がある。さらに、尺骨との関節面である尺骨切痕と茎状突起がある。

尺骨

 肘関節の屈曲・進展に関わる。

 近位端後面には、上腕三頭筋が停止する肘頭がすぐに確認できる。前面には鉤状突起があり、そのすぐ下に尺骨粗面がある。肘頭と鉤状突起の間は、上腕骨滑車との関節面で、滑車切痕と呼ばれる。尺骨体の近位端には、橈骨頭が間接する橈骨切痕がある。尺骨の遠位端は尺骨頭であり、そこには橈骨との関節面である関節環状面と茎状突起が認められる。

手根骨

 近位列

  舟状骨 

  月状骨

  三角骨

  豆状骨  かなり浅部にある。

 遠位列

  大菱形骨 第一中手骨と関節する

  小菱形骨

  有頭骨

  有鉤骨  豆状骨と合わせて尺骨神経や尺骨動脈の走行の目印となる。

中手骨

 外側から内側に向かって第1中手骨から第5中手骨まである。各々近位部に底、体、そして遠位部に頭がある。中手骨は手掌の大部分を構成している。

指骨

 第一指骨は、末節骨と基節骨の2個の骨で構成されているが、第2指骨から第5指骨は、基節骨、中節骨、末節骨の3つの骨で構成されている。

椎骨

  頚椎 

椎体および椎弓根と椎弓板により形成される椎弓が、椎孔を囲んでいる。椎孔は脊柱全体で脊柱管を形成し、中に脊髄を入れて保護している。頚椎の後部には棘突起が突出しており、また横突起が椎弓板から出ている。上関節突起と下関節突起の関節面はそれぞれ上下の椎骨と関節する。横突起には、前結節と後結節および横突孔がある。

 頚椎(続き)

環椎 

椎体がなく、代わりに前弓と後弓の2つの構造がある。後面には歯突起窩があり、前弓と後弓の側方部での交点は外側塊と呼ばれ、ここに上下関節窩がある。横突起は外側塊から出ており、この突起には横突孔がある。上関節窩の後面には、椎骨動脈溝がある。

  軸椎

   歯突起は発生学的には環椎の椎体。他、頚椎一般の特徴が認められる。

 胸椎

  失った棘突起をもち、上下の棘突起が重なり肋骨と関節をつくる。椎体には、上肋骨窩

  と下肋骨窩があり、肋骨頭と関節する。椎弓版には、浅い上椎切痕と非常に深い下椎切

  痕があり、脊柱では椎間孔を形成する。棘突起は細長く、下方に向かって突き出ている。

  横突起は側方に突き出しており、肋骨結節と関節する横突肋骨窩がある。

 腰椎

  太い棘突起と肋骨突起をもつ。椎体は非常に大きい。腰椎は肋骨に関節しないので、肋

  骨突起には強靭な筋が付着する。棘突起の大きさと方向は胸椎とは大きく異なる。

 仙骨

  5個の仙椎が融合している。上部には上関節突起があり、腰椎と関節をつくっている。

  後面には、正中仙骨稜(棘突起の遺残)、中間仙骨稜(上・下関節突起の遺残)および外側

  仙骨稜(横突起の遺残)がある。同じく後面には仙骨粗面がある。この粗面の外側面は耳

  状面と呼ばれ、腸骨の耳状面と関節する。また、後面には四対の後仙骨孔も見られる。

  仙骨管と仙骨裂孔も後面に認められる。裂孔部で左右に下方に突き出している構造は仙骨角と呼ばれる。仙骨下端は仙骨尖、仙骨上面は仙骨底と呼ばれる。前面には、5つの仙椎の融合部である横線が認められることがある。仙骨底の前部は前方に突き出しており、岬角と呼ばれる。仙骨前面には四対の前仙骨孔がある。

 尾骨

  4個の尾椎から成る痕跡的な遺残構造。尾骨角が仙骨と接する。

肋骨

 真肋 第1肋骨〜第7肋骨。肋軟骨を介して直接胸骨に関節している。

 仮肋 第8肋軟骨は第7肋軟骨に結合し、第9は第8に、第10は第9に結合する。

    第11、第12肋骨は胸骨と連結していない。

 典型的肋骨 上下の胸骨にまたがって関節するために、肋骨頭に2つの関節面をもつ。

  肋骨頸  肋骨頭の外側にある。

  肋骨結節 胸椎の横突肋骨窩に関節する。肋骨頸と肋骨体の境にある。

  肋骨角  肋骨の彎曲の角度が明らかに変化する

  肋間溝  肋間動静脈と肋間神経が通る。

 非典型的肋骨 第1、第2、第11、第12肋骨。

  第1肋骨 肋骨頭は1つの関節面のみを持つ。肋骨角、肋骨溝はない。上面に鎖骨下

動静脈溝があり、その間に前斜角筋が停止する前斜角筋結節がある。

  第2肋骨 第1肋骨と典型的肋骨の移行系。わずかに肋骨角が認められる。

  第11,12肋骨 肋骨頭には1つの関節面しかなく、肋骨頸と肋骨結節を欠く。

12肋骨には肋骨溝がない。

胸骨

 胸骨柄    胸骨の上部にあり、その上端は頸切痕と呼ばれ、その両側方に鎖骨との関節面である鎖骨切痕がある。

 胸骨体   胸骨の主要部で、第3から第7肋骨が関節する。胸骨体と胸骨柄の結合部

       は胸骨角と呼ばれ、体表から触れることができる。

剣状突起  胸骨の下方にある。第7肋軟骨の一部が関節する